2018.01.23

不動産の紛争事例で学ぼう! 

~シリーズⅡ 15年の時を経て!?~

 実際にあった不動産の紛争(トラブル)をご紹介する紛争事例シリーズ。
今回は、引渡しから15年も経ってから訴訟となった事例をご紹介します。

◆Sさんの住宅購入
◆そして、15年後にトラブルが!
◆Sさんは訴訟を決意!
◆判決から問題点を学ぼう!
◆まとめ

 

Sさんの住宅購入

Sさんは、平成5年に仲介業者を介して2,550万円の中古物件を購入し、同年の年末に引渡しを受けました。
住宅ローンを利用し、2200万円の借入れをしての購入でした。
この物件は、下図のように、隣地と共有の路地によって接道していました。

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建築基準法には接道義務という規定があり、建物建築の際には敷地が道路に2m以上接していなければいけません。

図をよく見て見ると、2.7mの接道部分は隣地と共有の敷地(道路ではないただの共有敷地)です。
どちらの土地も直接には道路に接していませんから、共有通路を自分の敷地にすることができなければ接道義務を果たせない状況です。
前の持ち主(売り手)は昭和50年に建築確認を取得していた為、Sさんはこのような状況を気にせずに契約していました。

そして、15年後にトラブルが!

平成20年の年末、15年間暮らした家を売却しようと決断したSさんは、不動産業者に買い取りの相談をします。
ところが、不動産業者に「この物件は、接道義務を満たさないから建築確認が取得できない」と言われ、Sさんは唖然としました。
建築確認が取得できないということは、合法的に建替えができない物件ということになります。不動産業者としても、これを理由に買取り依頼を断るしかなかったというわけです。
Sさんは、慌てて15年前の契約書を確認します。
しかし、契約書と重要事項説明書のどちらにも「将来に建築確認が取得できない」とは書いてありませんでしたし、重要事項の説明でもそんな話はありませんでした。

Sさんは、訴訟を決意!

Sさんは、15年前の契約時にこのようなリスクについて説明を受けていない事を理由に、売主側と買主側(Sさん依頼の仲介業者)の両不動産仲介業者に対して訴えを起こしました。
そして、この中古物件の購入価格は、建て替えが可能であることを前提としていると主張し、適正価格との差額返還を要求したのです。
また、借入額に発生する利息についても相当額を返還するよう求めました。
これに対し、不動産業者は、「この物件は、絶対に将来の建替えが不可能だとは言い切れず、過去に建築確認を取得したことがある物件なのだから、説明義務は無いのではないか」と主張してきました。
また、これまでSさんが居住による利益を得ていることも主張しました。

 

判決から問題点を学ぼう!

判決では、不動産業者の説明義務違反が認められ、Sさんの損害賠償請求を一部認める内容となりました。(千葉地裁・判決 平成23年2.17)
具体的には、「説明義務違反によって不利益を被ったのだから、裁判所が認定した適正価格との差額を支払いなさい」と命じました。それに加え、住宅ローンの利息部分についても相当額の支払いを命じたのです。建物付の売買では、「過去に建築確認が取れているから適法だ」という判断はできず、安易な解釈や判断は危険だということが学べる事例ですね。
また、銀行借入れにかかった利息にも因果関係が認められる場合があることも注目すべきポイントでした。

まとめ

今回のお話は、不動産業者の説明義務(重要事項説明)がどれほど大事なものかが理解できる事例でもありました。不動産業者による説明義務違反は、不法行為です。
不法行為は、行為から20年が経過すると時効になってしまいますので、この点にも注意が必要ですね。
契約内容は、わからない事が無いようにしっかりと確認をしておきましょう。