2017.01.23

お隣の建物が越境していた!?そんな時うちの家は売れないの??

不動産売買の取引をする際に気になるのが、その不動産の隣地との境界線。ブロックの真ん中って思っているけど、ほんとなのかな…? 
境界塀はあるけどなんだかまっすぐじゃない気がする…。いざという時に売れないのじゃないかって心配していませんか?

 今日の記事ではご自宅を売却したいけど境界線について不安があって売れなかったらどうしよう…と不安に思っている方への対処方法をご紹介いたします。

 

売却する際の境界線の取り扱い

境界線を明確にすることを「確定測量」と呼びます。敷地の境界線を明確にする際には、お隣さんとの境界線だけでは完結しません。隣接するすべての土地と間口となっている道路との境界線すべてを確定して初めてその土地の真の境界と面積が明らかになります。
売却する物件について購入希望者がその境界を明確にすることを求めてくる場合があります。買う側の気持ちになれば一般的ですね。特に市街地など境界線の場所によってはその土地の価格や評価に大きく影響する場合もあります。
しかし地方の物件や土地が広大すぎる場合には確定測量をしなくても、公簿「登記簿上の免責」だけで取引する場合もあります。
結論的に言えば、双方が納得すれば確定測量なしでも不動産の取引を行うことは可能です。 

 

都市部や地方でも市街地は境界標設置が一般的

対象物件の境界を確定しなくても不動産取引が行われることもあります。しかし一般的には都市部や地方の中でも市街地では、物件の仲介をしている不動産業者から「確定測量又は境界の復元」を求められる場合が殆どです。
復元というのは、過去に確定測量をした経緯が各官公庁での資料では残っているものの、現況での境界が不明瞭な時に再設置してもらうことです。土地家屋調査士に依頼して行ってもらいます。

 

売却したい土地の境界にお隣さんの工作物が・・・・

さてそれではタイトルにあったように、お隣さんとの境界に問題がありそうな場合を考えてみましょう。
長年のお隣さんとのお付き合い。さほど気にならなかったような境界線でも、いざ売るとなれば違います。ブロック塀がまっすぐではなく斜めに倒れこんでいたり、どちらかが設置した倉庫や増築部分が越境しているように見える場合です。
確かにこのままでは売ることは難しいでしょう。お隣さんとの境界でもめる可能性のある物件は誰も買いません。売却の前提として確定測量又は過去に取り決めた境界を復元する必要があります。

30坪から100坪くらいの土地での費用は約100万円前後

この確定測量を行うには「土地家屋調査士」です。測量から道路などの官地との境界線、そして民有地であるお隣さんとの土地との境界も確定し、杭などの境界標を設置してくれます。土地家屋調査士の報酬については地域、土地の形状、隣地との関係、既存の関係資料の質や量などによっては、数十万円で済む場合や何百万にも及ぶ場合があり、その幅があって試算しにくいのが現実です。
そしてその費用は売主側負担になるのが一般的です。隣地と相談しあって折版で境界確定を依頼するケースもありますが、稀です。一般的にはどちらか一方に測量の必要性が発生した時以外は誰も費用を払って境界を確定しようとは思いません。売却、相続、建て替えなど確定測量が必要となったほうが費用を負担して境界確定を依頼するのが一般的です。

 越境物がある土地を売却したい時の対処

測量費もかかりその費用も売主もちになる場合が殆どだとご説明しました。それでは具体的にどのような選択肢で無事に越境物がある物件を売ることが可能になるのでしょうか?

  1. 越境部分だけを分筆しその部分を隣地の所有者に買い取ってもらう
  2. 越境部分だけでは隣地も自分の土地も変形地になってしまうため、延長線で引っ張った部分でまっすぐに分けて買い取ってもらう
  3. どちらの買取りにも同意してくれない隣地の場合は、無償で贈与になってしまう
  4. 正しい境界線を主張して越境物の除去を隣地に求める

いかがですか?①から順番に④に向かって争いに発展しそうな展開です。しかしこれは実際に起こっているケースですからどこかで終着点を決めなければ売却することはできません。④の場合はもう訴訟の粋に差し掛かっています。逆に③ではこちらの泣き寝入りに近いですね。
※①から④いずれの対処も確定測量をした後でないとできない選択です。(費用が先にかかるということです)

筆界特定申請を行う

④のような訴訟に発展するケースはぜひとも避けたいですね。そんな時は最後の手段として筆界特定制度を利用します。法務局の筆界特定登記官が申請人の申し出により筆界の調査を行ってくれます。こちらから申し出なくても法務局から隣地に連絡し、現地立ち合いも行います。
この筆界特定調査の結果は対象地の登記中表題部に記載されます。法務局の登記官が判断した結果に不服がある場合は隣地の所有者が訴訟を起こさなければいけなくなるため、最初の①か②で収まる確率が高くなります。
ただ法務局での調査を順番に待つため、都市部での筆界確定には6から9か月の期間がかかっています。

筆界確定申請の概要  http://houmukyoku.moj.go.jp/okayama/page000006.html

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境界については意外に「うちは大丈夫」と思っている場合に起こります。安心しすぎて長年の間境界認識を放置しいていることで問題が大きくなるからです。
お互いに代が変わり先代のお隣さん同士では理解していたことも、子や孫の世代になるともつれることはよくあります。起こってしまったことは仕方がないので、この記事の内容を参考にして対処してみてください。そして「まだうちには関係ない」と思っている方も、機会を作ってお隣さんと境界の確認+境界標の設置を心がけてくださいね。