基本の「キ」!サルでもわかる「電気・ガス・水道」料金の仕組み
2020.10.06

基本の「キ」!サルでもわかる「電気・ガス・水道」料金の仕組み

各家庭に毎月送られてくる水道光熱費の請求書。

何やら知らない言葉や計算式が出てくるため、中身をロクに確認せず支払っているというかたが多いのではないでしょうか。

今回この記事では、「水道光熱費の計算方法は簡単!」ということを分かりやすく解説します。

難しい説明や細かな計算を省略して解説しますので、各種料金の基本的な考えかたを理解する「基本のキ」としてご覧ください。

最後までお読みいただければ、「こんな簡単なことを難しく考えてたんだ!」と思っていただけるはずです。

 

水道光熱費の基本的な計算方法

私たちが日ごろ何気なく支払っている電気、ガス、水道の料金。

各請求書には専門用語や計算式がたくさん記載されているため、水道光熱費がどのような計算で算出されるのか理解している人は多くありません。

もしかするとあなたも、「複雑すぎて読む気にならない」と思ったことがあるのではないでしょうか。

ただ実は、水道光熱費の計算方法や基本的な考えかたはほぼ同じです。

どのような方法で電気、ガス、水道の料金が決まるのか、簡単な計算方法をご覧ください。

水道光熱費の基本

上記の計算式をご覧いただき、「どこかで見たことがある計算式だ」と思ったかたは多いのではないでしょうか。

それもそのはず。水道光熱費の料金は携帯電話の料金を計算するのとほぼ同じ。

つまり水道光熱費の計算方法は、私たちが日ごろ利用している多くのサービスと大して変わらないのです。

基本料金 契約している以上、サービスを利用していなくてもかかる料金
使用料 サービスを利用した分、基本料金に上乗せされる料金
その他 当該サービスに付随する別サービスの利用料や法律の定めによって徴収される料金

 

多くの人が水道光熱費の請求書を複雑だと感じるのは、各種料金の請求書に書かれた専門用語が原因だと考えられます。請求書に書かれる専門用語が、「基本料金はどれか」、「使用料はどれか」という部分を分かりづらくしているのです。

では「ガス」「電気」「水道」の順で、料金の仕組みをそれぞれ具体的に見てみましょう。

 

ガス料金の仕組み

最初にご説明するのは、水道光熱費のなかでも比較的に簡単なガス料金の仕組み。

基本的な計算式は先述のとおりですが、東京ガスでは料金の仕組みを以下のように提示しています。

ガス料金

引用:東京ガス ガス料金の計算方法

 

青い枠の「従量料金」というのは、前章で解説した使用料にあたります。

従量料金は、「単価(円) × 使用したガスの量(㎥)」と考えれば良いでしょう。もちろん契約しているガス会社によって基本料金や従量料金の単価は変わります。

そのため詳細な料金を知りたい場合は、ガス会社へ問い合わせるかホームページを確認してみましょう。

 

ガスの従量料金は固定ではない

ただし、ガスの料金には一つ注意点があります。

まず基本料金はガス会社により異なります。同じく従量料金の単価もガス会社によって異なりますが、実は「為替レート」や「原油価格」によっても従量料金が毎月変動するのです。

日本で供給されるガスは、ほとんどが外国から輸入されたもの。「ガスの輸入価格」は毎月変動しているため、同じ量のガスであっても毎月の料金は同じにはならないのです。

とはいえガスの従量料金は、基本的に3か月間の平均価格と当月の価格を比較し、変動した分を3か月後に反映させる仕組み

よって、「もしかしたら来月はガス料金が大幅に上がるかも!」と過度に心配する必要はありません。

「ガス料金の単価は毎月変動する」ということを覚えておけば問題ないでしょう。

 

電気料金の仕組み

続いては、水道光熱費のなかでも複雑に思える電気料金。

実は大して難しくなく、料金の仕組みはガスとほとんど同じです。

東京電力の請求書を例に確認すべきポイントを見てみましょう。料金の内訳を確認する際は、下図の「9」の枠が重要になります。

電気料金

引用:東京電力 「電気ご使用量のお知らせ」の読み方

 

図の9には、「基本料金」「電力量(1~3段料金)」「燃料費調整」「再エネ発電賦課金」と書かれています。

つまり電気の料金も、最初に解説した「基本料金 + 使用料(電力量) + その他(燃料費、再エネ賦課金)」という基本的な考えかたと何ら変わらないのです。

ではそれぞれの意味を見てみましょう。

基本料金 図の3にあたる「契約種別」と「契約アンペア」の組み合わせで設定されている料金。
電力量 使用した電力量による上乗せ料金。使用量によって単価が3段階で変わる。
燃料費調整 発電に必要な原油、天然ガス、石炭といった価格の変動分を調整する料金。
再エネ発電賦課金 太陽光や風力、バイオマスなどの自然エネルギーで発電された電力を東京電力が買い取り、その費用を国民が負担する料金。

 

燃料費調整と再エネ発電賦課金は、私たち個人が変更できる料金ではありません。電気料金を個人レベルでどうにかできるのは、「基本料金」と「電力量」の部分のみです。

つまり電気料金を節約したいと考えるなら、「電力プラン(または電力会社)の変更による料金の見直し」、そして「電気の使用量を控えて電力量を下げる」という2点だけになります。

 

水道料金の仕組み

そして水道料金ですが、ここまでと同じように「基本料金 + 使用料」という基本的な仕組みは同じ。

市区町村の公共料金であるため、オプションなどの「その他」はありません。

ただし水道料金は、「上水道」と「下水道」で分かれている地域が多く、以下のように計算されます。

水道料金の計算方法

たとえば東京都水道局の場合、上水道の料金は以下のようになっています。

 

【東京都(23区)の上水道料金】

上水道料金

引用:東京都水道局 水道料金・下水道料金の計算方法(23区)

 

表の左上にある「呼び径」というのは、水道メーターの口径です。

宅内に引き込まれる水道は途中にメーターが取り付けられており、その水道メーターの管の太さによって基本料金が変わります。

水道メーター

 

一般的な家庭の水道メーターなら、13mm(基本料金860円)か20mm(基本料金1,170円)がほとんどです。

あとは使用した水量を水道メーターの口径に準じた単価で乗算すれば、水道料金を計算できます。

では東京都の下水道料金も見てみましょう。

 

【東京都(23区)の下水道料金】

下水道料金

引用:東京都水道局 水道料金・下水道料金の計算方法(23区)

 

東京都の場合、上水道のように基本料金は記載されていませんが、下水道を使用していなくても560円の料金が発生します。

このように各地域の水道料金を管轄しているのは、法人などの会社ではなく「市区町村」です。そのため地域の財政によって料金に何倍もの差があったり、下水道が整備されていない地域もあります。

また請求書の形式もバラバラです。

水道と下水道が一本化されて細かな内訳が記載されていない地域、水道の使用量と料金が大ざっぱに記載されているだけという地域も少なくありません。

全国の水道事業者は6,000以上あるため、難しくないはずの水道料金は水道光熱費のなかでも非常に分かりづらくなっています。

よって水道料金の請求内容を詳しく確認したい場合は、管轄の水道局へ問い合わせたほうが良いでしょう。

 

勘違いしやすい「使用料」の計算

それでは最後に、勘違いしやすい水道光熱費の計算方法について解説します。

まずは一番はじめに解説した基本的な計算方法の確認です。

水道光熱費の基本

 

上図の計算式で勘違いしやすいのが、「使用料」の部分。

「単価 × 使用量」と単純に考えがちですが、正確には「(単価1 × 使用量) + (単価2 × 使用量) + (単価3 × 使用量)・・・」といったように計算します。

東京電力の電気料金を例にして、具体例を見てみましょう。

東京電力では、契約するアンペア数による基本料金と3段階に分かれた電力量料金で成り立っており、ほとんどの家庭で契約されているのが、「従量電灯B」というタイプです。

 

【従量電灯Bの料金表】

基本料金
10A 286円
15A 429円
20A 572円
30A 858円
40A 1,144円
50A 1,430円
60A 1,716円
電力量料金(1kWhごと)
最初の120kWhまで(第1段階料金) 19.88円
120kWhをこえ300kWhまで(第2段階料金) 26.48円
上記超過(第3段階料金) 30.57円

参考:東京電力 料金単価表

 

上表を基にした正しい電気料金の計算方法は以下となります。

 

【電気料金の計算例】

契約が40Aで1か月に310kWh使用した場合……

基本料金 1,144円
第1段階料金 19.88円 × 120kWh = 2,385.6円
第2段階料金 26.48円 × 180kWh = 4,766.4円
第3段階料金 30.57円 × 10kWh = 305.7円
合計 ① + ② + ③ + ④ = 8,601円

 

このように電気の使用料金は使用した量によって単価が異なり、それぞれの段階で個別に計算します。

基本料金と使用料が分かったら、あとは燃料費調整額と再エネ発電賦課金をプラスすれば正確な電気料金を計算できるでしょう。

なお電気料金だけでなく、ガス料金や水道料金の使用料も基本的には同じ仕組みです。

請求書を見て詳しい計算方法を知りたいと思ったときは、まず契約している会社のホームページなどから料金表を確認しましょう。

そのうえで今回解説した計算方法で試算すれば、きっとあなたも水道光熱費を理解できるはずです。