リノベーションとリフォームの違い!スッキリ理解できる実例付きで解説
2020.03.14

リノベーションとリフォームの違い!スッキリ理解できる実例付きで解説

あなたは、「リフォーム」という言葉が実は和製英語というのをご存知でしょうか。

英語圏でリフォームという言葉は存在しますが、本来は家の修繕や改築という場面で使われる言葉ではないのです。

それに対し、昨今は「リノベーション」という言葉もたびたび目にするようになりました。

一体、家を修繕したり改築したりするのにリフォームとリノベーションのどちらが正しい言葉なのでしょうか。

今回は、いまいち違いの分かりづらいリフォームとリノベーションの違いを実例付きで解説します。

 

リノベーションとは?わかりやすく言葉の意味を解説

日本ではこれまで、家の中を改修するというと「リフォーム」という言葉を使うのが主流でした。

ただ本来、リフォームは「家を改修する」という意味ではありません。事実、インターネットで「reform」の訳を確認してみると「改革」と和訳されます。

英語圏のお話になりますが、リフォームは他にも以下のような意味で使用されます。

【reform(リフォーム)】

改心
矯正
更正
改良
再編成
作り直す
たて直す

「改良」「作り直す」といった意味でも使われるものの、英語圏ではリフォームという言葉を家の改修に対して使用しません。

では「リノベーション」という言葉はどうかというと、実は家の改修はリノベーションという言葉が正解。

「リモデル」という言葉を使用するケースもありますが、使用場面によって意味に若干の違いがあります。

【renovation(リノベーション)】

刷新
改善
修理
修復

【remodel(リモデル)】

改造
作り直す
改装
改築

リフォームと比べると、意味は全く違うのがお分かりいただけるでしょう。大まかに言うなら「リノベーション=修理」「リモデル=改築」です。

するとここで「確かに日本でも、修理と改築という言葉は意味が違う」と思われませんでしょうか?

実はそこに、リフォームとリノベーションの違いが隠されています。

 

リノベーションとリフォームの違い

そもそも日本におけるリフォームとリノベーションという言葉には、明確な定義がありません。国土交通省や社団法人の見解を一つの定義として示す記事も見受けられますが、ハッキリと定義づける法律や制度があるわけではないのです。

事実、専門業者さんに「家をリフォームしたい」と「家をリノベーションしたい」のどちらで問い合わせても意味は通じます。

ただ「一般社団法人リノベーション協議会」の定義は、リフォームとリノベーションの違いを説明するにあたって一つの参考になります。

リフォーム 原状回復のための修繕営繕不具合箇所への部分的な対処
リノベーション

●機能、価値の再生のための改修

●その家での暮らし全体に対処した、包括的な改修

引用:一般社団法人リノベーション協議会 リノベーションとは

不動産業界やリフォーム業界においても、確かに上記のような認識で使用されている印象です。

分かりやすく、以下のニュアンスで言い換えても良いでしょう。

  • リフォーム:家の中を修理する、または新しい設備に交換する
  • リノベ―ション:家の間取りを変更したり、水回り設備を移動したりして家の中を作り変える

よくリフォームとリノベーションの違いが説明される際、リノベーションは「付加価値を付ける」と表現されることがあります。不動産の価値という視点で見た時、中古住宅もリノベーションすれば資産価値を上げられるという意味です。

もちろんリフォームで設備を新しくしても物件としての価値は上がります。

ただ売却を前提とすると、やはりリフォームよりリノベーションが有利と言えるでしょう。家の中の一部を改修するリフォームより、新築同様にリノベーションしたほうが魅力が高いため買い手が現れやすい傾向にあるのです。

ではリノベーションとリフォームの違いを、実例を見ながらもう少し具体的にイメージしてみましょう。

 

キッチンの実例で見るリノベーションとリフォーム

実例をご覧いただくにあたり、リノベーションとリフォームの違いを簡単におさらいしましょう。

  • リフォーム:家の中を修理する、または新しい設備に交換する
  • リノベ―ション:家の間取りを変更したり、水回り設備を移動したりして家の中を作り変える

上記を前提に、リノベーションとリフォームの実例をご紹介します。

どちらもキッチンを改修した事例です。最初にリフォームのビフォーアフターをご覧ください。

【キッチンリフォーム(ビフォー)】

リフォーム前のキッチンの画像

どのご家庭でも、確かにキッチン周りはゴチャゴチャしがち。古いタイプのキッチンだと頭上にある吊り戸棚も高い位置にあり、年齢と共に使いづらくなっていきます。

では同じキッチンのリフォーム後をご覧ください。

【キッチンリフォーム(アフター)】

吊り戸棚の位置が少し低くなり、こまごまとしていた足元の棚が大きめのキャビネットに変更されています。

シャワー付き水栓やビルトインのガスコンロもあり、使いやすさが大幅に向上したリフォーム事例と言えるでしょう。

ではリフォーム事例に対し、リノベーションの事例をご紹介します。

昭和のマンションを工事した事例ですが、現代のキッチンに見事に生まれ変わる事例です。ご覧いただければリノベーションとリフォームの違いがハッキリ理解できるでしょう。

【キッチンリノベーション(ビフォー)】

かなり古い物件だというのが見て取れます。このキッチンで覚えておいていただきたいのが「画像中央の壁に付けられたキッチン」と、「画像左側の白い壁」です。

古いキッチンがどのように生まれ変わったか見てみましょう。

【キッチンリノベーション(アフター1)】

お分かりになるでしょうか。左側にあった壁を取り払い、正面奥に付けられていたキッチンの位置を横向きに変更しています。壁紙や床もきれいにされ、まさにリノベーションの代表例と言えるでしょう。

では同じキッチンを正面から見てみましょう。

【キッチンリノベーション(アフター2)】

上記のリノベーション事例、実は家全体の部屋の間取りを大きく変更しています。

家の中央にあったDKをバルコニーに面したLDKに変更。キッチンだけでなく、家全体が新築同様に生まれ変わっています。

リノベーションとリフォームの違い、お分かりいただけましたでしょうか。単純に「改修する規模が違う」とも言えますが、リフォームは設備などの部分的な改修であるのに対し、住みやすさと資産価値の両方を向上させる大がかりな改修がリノベーションなのです。

 

「リノベ」「リフォーム」の違いは目的で決まる!

とはいえ、誰かに「リノベしたい!」「リフォームしたい!」というどちらのニュアンスを使っても、だいたいの意図は伝わるでしょう。「家の中を新調する」という点で、リノベーションもリフォームもほぼ同じです。ただ一つ言えることとして、リフォーム業者さんと話すときは、できるだけリノベーションとリフォームの言葉は使い分けたほうが良いかもしれません。

理由は、あなたが何をしたいかという目的が伝わりやすくなるため。家の中を新調する目的によって、リノベーションとリフォームに含まれるニュアンスが変わることもあるのです。

例えば……

「だいぶキッチンも古ぼけてきたし、引き出しも壊れてる。そろそろリフォームしようかな」

「新築で家を買ったけど、キッチンが使いづらい!リビングとの動線も悪いし、家族と一緒に料理ができるようなキッチンにリノベーションしたい!」

リフォームは「新品のものに取り換える」というニュアンスが強いのに対し、リノベーションは「改造して使いやすくする」といった意味で捉えられることが多くあります。

リノベーションとリフォームという言葉の違いは、あなたの目的で変わるというのが一つの結論と言っても良いでしょう。

リノベーションとリフォームのどちらを使っても間違いではありません。

ただリフォーム業者さんにあなたが何をしたいのかというニーズを理解してもらうために、リノベーションとリフォームの使い分けを少し意識してみてはいかがでしょうか。