2019.10.08

不動産を購入後の「不動産取得税」納付方法、軽減税率、計算方法を解説

家を持つことは「資産」を持つことと同じですが、日本は資産を持つと税金がかかります。
そう考えると、不動産を購入して最初に課税される「不動産取得税」が気になる方も多いことでしょう。

ただ不動産取得税は、一般の方が購入する普通の住宅であれば、あまり心配することはありません。

今回は、そもそも不動産取得税とは何かを解説しつつ、納付時期や納付方法、不動産取得税の分かりやすい計算方法をご紹介します。
数か月後に納税が必要になるかもしれない不動産取得税ですので、気になる方はぜひ最後までご覧になってください。

 

不動産取得税とは?

不動産取得税とは、土地や家を購入したときに課税される地方税であり、その不動産がある都道府県に納める税金です。取得方法が購入か無料入手かに関係なく、また取得した人が個人か法人かも問わず課税されます。一般的には「不動産を購入した」という事実が発生した時に課税されると思われがちですが、課税されるタイミングや課税される範囲というのはもう少し広くなっています。

 

【不動産取得税が課税される種類】

・新築
・改築
・増築
・贈与
・交換など…

上記に対し、「じゃあ、相続で不動産が自分のものになったら相続税と不動産取得税がかかるの?」と思われるかたもいらっしゃるかもしれませんが、相続時の不動産取得税は非課税になります。

では、不動産取得税が非課税となる種類についても見てみましょう。

 

【不動産取得税が非課税になる種類】

・相続により不動産を取得した場合
・会社の合併などにより所有権が変わり不動産を取得した場合
・一定条件に基づいた抵当権の実行による不動産の取得など…

課税されるタイミングや上記の非課税になる種類は、法令上、非常に細かい規定があるため全てをご紹介できませんが、「不動産を購入する」という場面以外でも不動産取得税が関わってくることがお分かりいただけるかと思います。

不動産取得税の納付時期はいつ?納税方法も解説

では、実際に不動産取得税が課税される場合、いつ納税するのかなどを解説します。
ただ不動産取得税は地方税であるため、確定申告のように「〇月〇日まで!」と明確に定められていません。
地域によって納税期日が違うのです。
そこでまず、不動産取得税の課税から納税までの流れを簡単に見てみましょう。

【不動産取得税を納税するまでの流れ】

  1. 不動産の取得(課税)
  2. 納付書が送られてくる
  3. 納付書に記載の期日までに納税

流れ自体は簡単です。

重要になるのは「2. 納付書が送られてくる」「3. 納付書に記載の期日までに納税」ですが、これが地域によってまちまちなのです。

自治体によっては、納付書の送付時期がホームページで示されているケースもあるため、以下にいくつかの都道府県の不動産取得税に関する情報をご紹介します。

【群馬県の不動産取得税】※吾妻郡の場合

≪中古住宅・土地を取得時の納付書≫
平成30年7~12月に取得:平成31年6月3日
平成31年1~6月に取得:平成31年12月2日

≪納付期限≫
平成30年7~12月に取得::平成31年7月1日
平成31年1~6月に取得:平成31年12月27日

≪新築住宅を取得時の納付書≫
平成30年1~12月に取得:平成31年8月1日

≪納付期限≫
平成31年9月2日

■群馬県「平成31年度 不動産取得税の納税時期」
https://www.pref.gunma.jp/cate_list/ct00001649.html

 

【富山県の不動産取得税】

中古住宅・土地を取得した場合の納付書送付時期:おおむね5~6ヶ月後
新築や増築による取得の場合の納付書送付時期:翌年7月

■富山県「不動産取得税」
http://www.pref.toyama.jp/sections/1107/kenzei/m01/m01-09.html#m01-09-03

【新潟県の不動産取得税】

中古住宅・土地を取得した場合の納付書送付時期:おおむね4~6か月後
新築や増築による取得の場合の納付書送付時期:翌年6月
■新潟県「不動産取得税Q&A よくあるご質問(その2)」http://www.pref.niigata.lg.jp/zeimu/1350597730951.html

このように、地域によってバラバラですが、新築の場合は不動産評価額が決定するのが翌年となるため、納付書の送付時期は翌年の6月前後になります。

また、納税方法も地域に若干の差があり、金融機関か県税事務所のみの場合とコンビニやインターネット経由のクレジット払いができる場合とで分かれます。

よって、不動産を取得する可能性、または既に取得して課税対象となっている方は、納付方法等については自治体に確認されるのが確実です。

どうやって決まる?土地と建物の固定資産税評価額

ここまで不動産取得税のあらましと納付時期について解説させていただきましたが、もっとも気になるのは納税額ではないでしょうか。
不動産取得税の金額は、以下の計算で算出できます。

固定資産税評価額 × 4% = 不動産取得税額
「不動産の購入価格」を基にした計算式を紹介するメディアもありますが、本来は固定資産税評価額で計算するのが正解です。

ただ、固定資産税評価額の算出方法は非常に難解であり、その計算方法を解説するにはスペースが足りません。
そのため、多くのメディアでは不動産の購入価格で簡単に解説しているのです。

では、より正確な不動産取得税を知るため、固定資産税を調べる簡単な方法をご紹介します。

【固定資産税評価額の調べかた】

・「路線価 × 0.8」の式による概算を目安にする(土地の場合)
・固定資産税の課税明細書を確認する
・都道府県税事務所や各市区町村の役所で固定資産課税台帳を見せてもらう(要手数料)
・都道府県税事務所などで固定資産評価証明書を取得する

土地の個性資産税を知る場合にもっとも簡単なのは、「路線価」を調べて「0.8」で掛ける方法です。
若干の数値の誤差は発生しますが、不動産取得税の額を大きく狂わせるような影響はないと考えてよいでしょう。

路線価は以下のページから確認できますので、ぜひ一度ご覧になってみてください。
「道路に面して書かれた数字が1㎡あたりの価格」ということになります。

 

■路線価

http://www.rosenka.nta.go.jp/

なお ” 0.8 ” という数字は補正率と言い、土地の形状等を加味して価値を適正にするための数値です。
この補正率の考え方こそ難解なものですので、簡易的に0.8で計算した額を固定資産税評価額の目安とするか、公的な証明書等で確認してしまうのが手っ取り早いということになります。

不動産取得税をシミュレーションしてみよう!

さて、前章では不動産取得税の計算方法を解説させていただきましたが、そもそも不動産取得税は、特に用途が定められていない「普通税」です。
そのため、一部の人の間で「不動産を持っただけで課税される意味の分からない税金」「景気回復の邪魔になっている税金」という認識による不動産取得税不要論がありました。
国がそれらを認識していたかは不明ですが、不動産流通の促進や景気回復の効果を狙う目的で、不動産取得税は一定の「軽減措置」が認められています。
軽減措置は不動産の種類や性能によりルールはさまざまですが、一般的な住宅に関する軽減措置をご紹介します。

【税率の軽減】

本則4%のところ3%に軽減

 

【住宅用の土地を取得したときの軽減措置】

・固定資産税評価額を1/2にて計算してよい

・以下のいずれかを税額から差し引いてよい

(1) 45000円
(2) 土地1㎡あたりの評価額 × (住宅の床面積 × 2) × 3%

※住宅の床面積の計算は1戸あたり200㎡が上限

※土地の軽減措置は自分が住む家のための土地に限定されます

 

【住宅を取得したときの軽減措置】

・固定資産税評価額から1200万円を差し引いてよい

※中古住宅の場合は自己居住用に限ります

※平成9年4月1日より前に建築された中古住宅は差し引ける金額が下がります

では、上記の計算式を基に、自分が住む家を新築で購入した場合の不動産取得税をシミュレーションしてみましょう。

 

【不動産取得税のシミュレーション】

固定資産税評価額(土地):2000万円

土地面積:132㎡

固定資産税評価額(住宅):1500万円

家の面積:120㎡

※土地の坪単価は計算しやすくするため約15万円とします

 

 

 

≪土地の不動産取得税≫

15万円 × (120㎡ × 2) × 3% = 108万円

2000万円 × 1/2 × 3% = 30万円
30万円 - 108万円 = 不動産取得税は非課税

 

≪住宅の不動産取得税≫

1500万円 - 1200万円 × 3% = 不動産取得税9万円
合計で9万円がこの家の不動産取得税になりました。

前章で「路線価で土地の個性資産税評価額を計算しても大きく変わらない」とお伝えしたのは、この軽減措置があるためでもあります。

土地の固定資産税評価額を半分に減らして計算できるため、よほど良い立地に立てた高級住宅ということでもなければ、ほとんどのケースで土地の不動産取得税は0円です。

一般のメディアでは、「家を購入すると不動産取得税がかかる!」と述べて少し驚かせるようなものもありますが、一般のかたが自分の家としてごく普通の不動産を購入する程度であれば、高額な不動産取得税が課税されるということはありませんので安心してよいでしょう。