代理人! それ大丈夫ですか?
不動産トラブル、私には関係ない?って思いませんか?
どんな事がきっかけでトラブルが起こるのかを知っていれば自分を守れますよね。そこで、今回は、「代理人トラブル」についてです。
Aさんの住宅購入はこうして始まった
しかし、Aさんにトラブル発生!
トラブルが解消できないAさん!ついに不動産業者を訴えた!
判決からわかったことは??
Aさんの住宅購入はこうして始まった
家を持ちたかったAさん、今のところから離れたくないので、まずは、地元の不動産業者を訪れました。(媒介の依頼)
間もなく、不動産業者担当者から、「良い物件を持っている人を知ってますよ」と言われ、B氏を紹介されたのです。
Aさんは、不動産業者とB氏に案内され、現地まで物件を見にところ、とても良い条件でしたので、購入を決めました。
この際、不動産業者から、B氏はこの物件所有者の代理人なので、所有者に代理して契約締結すると聞かされます。
代理人ってどういうこと??所有者じゃないの?? →代理人というのは、所有者に代わって意思表示ができる権限を委任されている人のことです。(代理人の意思表示=本人の意思表示)
不安的中!トラブル発生!
Aさんは当然のこと乍ら不安だったので、「B氏が本当に代理人であるか?確認をしてほしい」と不動産業者にお願いした所、
「代理の委任状を見せてもらいましたし、B氏とは6年来の付き合いなので大丈夫です!」と代理人が回答したのでAさんもそれ以上は追求せずに、契約しました。
しかし、B氏が勝手に作成した委任状であったことが判明しました!
Aさんは、代理権限が無いB氏に対して払った手付金の100万円の返金を要望しましたが、残念なことに取り戻すことができない状況になってしまいました。
不動産業者を訴えたAさんは、どうなった?
100万円も支払ったAさんは、勿論のこと取り返すために不動産業者に訴訟を起こす決断をします。
そして、不動産業者がB氏の代理権について確認が不十分であったことを主張します。
「不動産業者の注意義務違反によって起きた損害なのだから、手付金100万円の賠償は不動産業者に求める!」というわけです。
これに対し、不動産業者も自分達の言い分を訴えます。
本物にしか見えない委任状を見せられた為、信じるしかなかったし、すべき確認はしたのだと主張しました。
真実の代理権であると判断すべき委任状を確認したのだから、「自分達に過失は無く偽造したB氏の責任だ!」というのが言い分でした。
さて、判決はどうなったのでしょうか?
判決!
この紛争事例の判決は、Aさんの主張が認められました。(東京地裁・判決昭和42.9.22)
この結果には、ちょっとホっとしますね。
不動産業者は、物件の所有者に売却の意思を直接確認すべきでした。委任状だけで判断したこと自体に過失があると考えるのが妥当で、調査を十分に行っていたとは言えません。
また、売主の印鑑証明書、権利証等の提示を求めないまま、買主に手付金を支払わせている点にも問題がありました。
不動産業者の質が問われる判決で、不動産業者の選別がいかに大切であるかを痛感する事例です。
まとめ
不動産取引では、ほんの小さな手間を惜しむだけで大変な事態を招くことがあります。
「代理」という取引形態は決して珍しいものではありませんから、今回の教訓を覚えておいて損はないと思います。
そして、現在も無権代理人による犯罪は後を絶つことなく発生しています。安心して任せられる不動産業者を見つけ、担当者には本当に代理権があるのかを、しっかり確認してもらうようにしましょう。