2017.02.28

いざ売却の時に慌てるのが相続登記|自分でもできるって本当?

相続した土地や建物で、被相続人(亡くなられた方)の名義のままになっている人多いのではないでしょうか。親族で売却することになったけど、相続登記って自分たちでもできるって本当?という方増えています。答えは本当ですが、いくつか注意して欲しい点もあります。ぜひ参考にしてみてください

 

その相続について争いのない場合は自分たちで行うのも◎

例えば最もシンプルなケースでご説明しましょう。 

ご主人が亡くなり法定相続人として奥様とお子様二人がおられます。ご主人名義のままでその物件に家族で住んでいましたが、子供たちも巣立ち売却して奥様は一人でも暮らしやすいマンションに住み替えることにしました。
とても一般的でシンプルなケースの場合でも基本的には次のような選択肢が出てきます

     ①ご自宅を法定相続通りに分ける→売却して得たお金もその持ち分通りに分ける
  ②母の住む家だから、と子供たちは母だけの相続でいいと了承している

 ①の場合は3人で相続人となって奥様2分の1子供たち各4分の1ずつ取得する法定相続登記を申請します。
相続人のうち一人からだけでも登記申請できるのが特徴です。しかしその場合登記名義は3人になりますが、識別表(登記済権利証の代わりになるもの)は申請した者にしか交付されず不便です。3人が申請人になるのが望ましいです。

 ②の場合は母だけが単独で自宅を相続することに了承したという「遺産分割協議書」を作成します。3人で直筆による署名・実印による捺印が必要です(印鑑証明書付)。これにより奥様だけで相続登記を申請しその自宅の名義人となり、住み替えにも一人で対応できるため便利です。

 とても大きなお屋敷や都市部で評価額の高い不動産の場合は相続税の問題も絡んできますので、相続人だけでの取り決めには不向きです。しかし相続税の対象にならない不動産の登記であれば、上記のような方法で相続登記を自分ですることも可能です。

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実際の登記書類作成はこんなに簡単!

順序(1)

①の場合も②の場合も法務局のホームページで申請書の作成方法と添付書類について説明があります。
まずは難しく考えないでご自身で作成してみてください。申請書は一太郎とword でダウンロードできます。
またPDFファイルで記入例もダウンロードできます。1時間足らずで作成できるボリュームです。

法定相続の申請書式 http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/minji79.html#21

順序(2)

 ある程度作成したら、法務局の登記相談窓口に行く
法務局には自分で登記をする際にわからないことを教えてくれる「登記相談窓口」があります。法務局のページを参考にしながら作成した書類等を持参すると、申請前にチェックしてくれます。綴り方や割り印など細かい申請の方法も教えてくれます。もちろん無料です!混んでいる時もあるので予約のできる法務局の場合はぜひ予約していってください。

 

相続登記は家を売却する際には必ず必要

以前は相続登記が完了していなくても、売却の依頼を引き受ける業者がたくさんありました。しかし依頼者の口頭説明だけで「相続は僕が任された」と言ってもトラブルになるケースもあります。それだけでは今は売却の媒介契約には応じでくれません。ちゃんと相続登記を済ませてから売却の手続きに入るようにアドバイスしてくれるのが、きっちりとした不動産業者です。

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土地相続で分割をする際のプロセスは違うので注意

土地を相続人で分け合って、分割した通りに所有する場合は少しプロセスが変わってきます。被相続人(亡くなられた方)名義のままで土地の分筆登記をします。例えば1つ(筆)の土地を3人で相続するために3筆に分けるという場合です。この場合は土地家屋調査士に土地の測量と登記を依頼します。これはご自身ですることは難しいので任せます。分割する作業と相続登記が一度に完了し、登録免許税がかなり抑えられます。

 

複数の財産と併せて相続する場合は注意

更に他にも相続する財産がある場合は注意が必要です。平成27年1月の基礎控除減額で事実上の相続税増税になっています。大した遺産はないし大丈夫だろうと思っていた人にも相続税がかかるような規定に変わっているのです。

https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/sozoku/aramashi/pdf/all.pdf

相続遺産の一部である不動産を売却する際でも、相続税に詳しい専門家に相談してから相続登記するようにしてください。

 

まとめ

このように、相続登記は自分でもできるのか?という質問の答えは「YES」です。場合によってはそれほど難しいものでもありません。でも様々な要因が含まれている可能性があるので専門家に相談するほうが望ましい件でもあります。