2018.02.21

屋根裏にコウモリが!?

 

中古物件の購入で一番コワイのは、目に見えない部分のトラブルですよね?後から発生するトラブルは、想像するだけで嫌なものです。今回の紛争事例では、そんな中古物件の購入で起きた珍しいトラブルをご紹介します。

・中古住宅購入からトラブル発生まで
・クレーム対象は売主と仲介業者へ
・売主の反論によってトラブル悪化
・裁判所の考え方
・判決から問題点を学ぼう!

 

中古住宅購入からトラブル発生まで

Aさんは、仲介業者B(不動産屋)を介して、売主Cから築8年超の中古の一戸建住宅を購入し、すぐ入居しました。
ところが、入居してすぐに屋根裏にコウモリが棲んでいることに気付きます。それも、一匹や二匹ではなく、多数いる気配・・
そこで、屋根裏を調査てみると大量の糞が堆積していました。 

 

クレームはどこに言えばいいのか?

Aさんは、すぐに駆除業者に依頼してコウモリを追い出し、修繕も行いました。
そして、この事実が「隠れた瑕疵」に該当するとして、売主Cに責任があると考え、
駆除費用等について売主Cへ請求すると共に、この物件を紹介してきた仲介業者にも注意義務を怠ったことを理由に損害賠償請求することにしました。

 

売主の反論によってトラブル悪化

Aさんから瑕疵担責任を問われた売主Cは、売買契約当時にはコウモリが棲息していなかったので、責任はなく
コウモリが棲息していたとしても、建物自体の性質や性能が欠如するわけではないから、瑕疵には当たらないと主張しました
仲介業者Bも、コウモリが棲息している事は知らず、通常の注意で気付くことが出来ない状況だったという返答でした。

 

裁判所の考え方

そこで、Aさんは、裁判所に判断をゆだねることにしました。

裁判所では、人が住む建物に一定の生物が棲息することは避けることができない。しかし、害獣と言えない生物でも、一般的に不気味なイメージを持たれている上、実際に糞害が発生した事を考慮する必要がある。
買主Aの支払った売買価格に見合う清潔さや快適さを備えたものとは言い難いので、この事実は瑕疵に該当するので、売主Cは、駆除費用を損害賠償として支払う義務があり、仲介業者Bについては、売買に至るまでにコウモリ棲息を疑うべき事情もなかったことから、仲介業者としての注意義務を怠ったと認めることはできない。という判決になりました。

 

判決から問題点を学ぼう!

 争点は、屋根裏にコウモリが棲息していることが、「建物の瑕疵といえるのか」という点でした。
そして、判決は売主Cの瑕疵担保責任を認める一方、仲介業者には責任は無いという判決を下しました。

瑕疵担保責任が認められるには、以下の2つの要素が重要なポイントになります。

  • 対象物件に瑕疵が存在すること
  • その瑕疵が隠れたものであること(通常の注意では発見できないもの)

瑕疵担保責任は、売主に過失が無くても発生します。ですので、今回のケースで売主Cがコウモリの存在を認識していたかは関係なく、事実を知っていても、知らなくても責任を負うケースだったということです。

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まとめ

今回の事例では、売主の瑕疵担保責任について学ぶことが出来ましたね。
これは、シロアリ等の被害の際にもよく問題になり、同じような判断基準でジャッジされます。仲介業者については、もしも事実を知っていた場合には過失となり、調査説明義務違反となる可能性が高いでしょう。
やはり、間に入る仲介業者(不動産屋)は、プロの目でしっかりと調査をしてくれる会社選びが大切ですね!