兄弟でもめていませんか?最近の自宅相続事情
日本の相続財産額のうち約半分は不動産が占めています。それだけ現金や有価証券よりも相続することが多いのですね。中でも最近問題となるのが「自宅の相続」。どうして自宅の相続が問題となるのでしょうか。
長男だけが相続することに異論が多い世の中に
ずいぶん大昔、日本は「家督相続」という制度がありました。家の財産は全て基本的に長男に相続されます。家も財産も譲り受け一族を守り先祖の代々のお墓も引き継ぐという立場にあったからですね。でもそれは昭和22年に廃止されました。
廃止後もしばらくはこの名残なのか長男や親の面倒を見るものが自宅を相続する場合が多かったのですが現在はそうでもありません。生活習慣や社会保障制度の変化で長男が親の面倒を見るといっても次のような事例が増えています。
・ご両親のうち父が他界
・母の面倒をみるということで長男が自宅の単独相続を主張。
・長男の嫁も仕事を持っているため、ヘルパーさんに任せるかゆくゆくは介護施設への入所を検討
・両親のがどちらも跡取りではなかったので墓も永代供養供養にする予定
納得したくない兄弟のいい分は「一旦自宅を売却して公平に相続し、母の面倒も公平にしよう」というもの。不景気続きの世の中です。自宅の相続も充てにする兄弟家族が以前より増えていることは間違いありませんね。こんな場合兄弟で揉めないようにどんな対処法があるでしょうか。
相続不動産を分ける方法は4つ
相続した土地を分けたい時には次の4つの方法があります。
①現物不動産の分割
土地や建物を分割してそれぞれに相続する方法です。
②代償分割
まず一人が相続し、他の相続人には代償を払うことで分ける方法です
③換価分割
不動産を売却してしまい、その売却費を皆で分け合う方法です
④共有分割
不動産の名義を皆で共有し相続する方法です
自宅に住んでいない兄弟が希望するのは代償分割や換価分割です。家が欲しいのではなく清算して現金を手にしたいのですね。年代的にも出費がかさんでいる世代ですしなかなか引き下がることもできないのでしょう。
しかし自宅を相続したいと主張している者が代償として支払えるだけの現金を持っていないとできません。住んでいる長男家族はどうしても引っ越したくないと主張し、話がややこしくなるのですね。
解決策としては、以下のようなご提案になります。
①分筆して一部を売却
その不動産に余分な土地部分がある場合は分筆が出来る可能性があります。庭の部分、倉庫の部分、又は親のための離れがある場合などです。隣接地との境界確定が必要ですが、その部分を分筆そして売却することで他の相続人に代償します。
②融資を受けて代償金を支払う
銀行から融資を受けて他の兄弟への代償金とする方法もあります。家を担保にいれることで賄えることができるでしょう。不動産鑑定士にきっちりと相場価格を鑑定しもらい、兄弟で分けるための準備をします。ここで注意したいのがローンの種類です。自宅を手放したくないためにローンを組むのですがこれは「住宅ローン」扱いにはなりません。どの金融機関でもフリーローンの扱いになるので金利もやや高めになります。
どの方法をとってもあまりすっきりとした話ではないことは否定できませんね。しかしこのご時世自宅の相続をめぐってのトラブルは決して他人事ではないようです。いざという時に揉めてしまわないように親戚で集まる際にすこしずつ話をし始めるほうがゆっくり話し合える期間が得られますよ。