不動産登記の基礎知識|表示登記と保存登記 自分でできる!!
新築物件を購入すると、登記をすることになります。
一般的に「表示登記」は売主が行うものですが、どんな登記なのかを知っておいて損はありませんよね。
今回は、「表示登記」と「保存登記」にクローズアップして、この二つの登記の意味についてご紹介していきます!
- オンライン化の流れ
- 法務局と登記記録
- 表示登記とは
- 所有権の保存登記とは
- 登記の義務
- まとめ
オンライン化の流れ
オンライン化が進んだことで、2005年に登記のルールを定めた法律(不動産登記法)に大改正が行われました。
全文が改められた新法が施行され、権利書という呼び方をしなくなりました。権利書と呼ばれていた書類は、登記識別情報という名称に改められ、暗号のようなもので管理することになりました。
従来、登記は登記簿に記録されることによって管理されていました。
現在では、オンライン化完了に伴って、データによる管理が原則となっています。
このような背景から、現在は「登記簿」ではなく、「登記記録」という表現になっています。
法務局と登記記録
法務局には、不動産についての記録(登記記録)というものが保管されています。
そして、登記記録は、土地と建物で別々に管理されています。
この登記記録の構成は、表題部と権利部の二つに分けられています。
つまり、登記を記録するための記入欄が二つあるということです。
表題部には、所在・地番・地積・地目等のように、権利以外の情報が記載されます。
建物についての登記記録の場合、表題部には、所在・地番・家屋番号・種類・構造・床面積・建物名等が記載されます。
権利部は、甲区と乙区に分類されています。
甲区には所有権を記載し、乙区には、所有権以外の権利について記載します。
所有権以外の権利というのは、抵当権や地役権等のことです。
表示登記とは
表示登記は、表題部の表示に関する登記であることから由来しています。
冒頭で説明したように、表題部には権利以外の事を記載します。
表示登記をしなければいけない理由には色々とありますが、私達に身近な登記原因となるのは、以下のような事があった際です。
・建物の新築
・建物の取壊し
・建物の所在・種類・構造の変更
・地目又は地積の変更
・表題登記の無い土地の取得
このような登記要因が発生した場合、1カ月以内に表示登記をしなければなりません。
建売物件の場合、表示登記は売主の費用と負担で行います。
所有権の保存登記とは
ここからは、権利部に記載される事項のお話です。
権利部への登記は、誰かに権利を侵害された場合、それに対抗するための登記です。
登記をしておくことで、「これは法的に私のものですよ」と言える根拠になります。
表題部への登記が完了していても、権利部への記載はまだ行われていない場合もあります。この場合、権利部に甲区が存在していません。
そこで、所有権を記載するために甲区欄を作成し、第三者への対抗に備えます。つまり、所有権を初めて保存するわけです。
この登記を「所有権の保存登記」と言い、これを完了させることによって、その後に所有権が移った事実を記録していくことができるのです。
そして、所有権が誰かに移った事実を記録するのが、所有権移転登記です。
登記の義務
表題部への登記は、申請時期等が義務付けられています。
これは、不動産の現状把握と、税金の算出に必要になるからです。
ですから、登記要因が発生してから1カ月以内に表示登記をしないと、10万円以下の過料を課されることがあります。
これに対して、権利部への登記(第三者へ対抗するための登記)は、このような義務等がありません。
「これは私の所有物です」と法的に証明できる状態にする行為は、個人の責任と自由に任せているということです。
あまり上手な例えではないかもしれませんが、自動車保険の自賠責と車両保険のような違いだと考えると分かりやすいと思います。
自賠責保険は、人や物に対して損害を出した時の保険ですが、車両保険は自分の車を守るためのものです。
車が盗難されても、破損しても、「また買えばいい」と思う人は車両保険に入る必要はないでしょうから、加入を義務にするのは違和感がありますよね。
権利部への登記は、万が一の時に自分の権利を証明するためのものなので、同じような扱いになっているというわけです。
まとめ
不動産は高額な価値を持つ事が多いですから、登記をしておくことは非常に大切です。
一つ一つの登記の意味を理解することで、より安心感も増すことでしょう。
基本的には、担当営業と専門家に任せておけば勝手に進んでいく部分ではありますが、意味を理解して進めていくことが大事だと思います。