2017.11.17

住宅設備の寿命とメンテナンス時期 知っていますか?~屋根の傷み編~

 

今回は、普段はあまり気にすることが無い『屋根』についてのお話です。
家の構造中でもかなり重要な部分ですが、下からは見えないせいもあって実際には傷み具合がよくわからないですよね。
リフォーム業者さんからの提案営業等をきっかけにメンテナンス工事の必要性を知り、「本当にその工事は必要なの?」と思う人も多いかもしれません。
今日は、正しいメンテナンス時期を判断するための知識についてご紹介したいと思いますので、参考にしてみてください。

 

  • 屋根の種類や特徴を知ろう!
  • メンテナンスが必要な時期
  • 再塗装と葺き替え どっちがいい?

 

屋根の種類や特徴を知ろう!

 新築一戸建ての場合、引渡しから10年間は請負業者に瑕疵担保責任が課せられています。これは、この期間に何か不具合(雨漏り等)が起こった時には、無償で修繕してもらえるということです。しかし、その後は自己判断で維持管理をしていくことになりますので、ある程度メンテナンスについての知識をつけておきたいところです。

屋根のメンテナンス時期は、その部材の種類によって異なります。屋根の種類には、スレート(洋瓦・セメント瓦等も有)・ガルバリウム鋼板等があります。
中でも、最も多く住宅に使われているのは、スレートという屋根材です。皆さんは、スレートがどんな素材できているか知っていますか?実は、スレートは薄い板状の素材で、セメントに繊維状の素材を混ぜて固めたものなんです。一般的に、スレートのメンテナンス時期は15年前後での塗装メンテナンスが望ましいと言われています。これは、スレート材に「色あせ」・「ヒビ割れ」等が生じてくる時期だからです。勿論、環境等によって傷み具合は異なるものですので、これはあくまでも目安の時期です。瓦の寿命は、40~60年と言われていますから、むしろ下地材(防水シート等)の寿命の方が短い事が多いかもしれませんね。
瓦は、陶器で造られていますので、割れない限りは特にメンテナンスがいりません。つまり、屋根の下地材に異常が生じなければ、どこまでも使い続けられるというわけです。
 最後に、ガルバリウム鋼板についてです。ガルバリウム鋼板は、耐久性の高い金属を薄く加工した素材で、外壁に用いられることもあります。このような金属系の屋根は、25年前後が寿命の目安とされています。軽くて寿命が比較的長いのですが、断熱性が低いというデメリットもあります。金属素材なので、傷付いた箇所から錆(サビ)が発生すると寿命を縮める原因となります。

 メンテナンスが必要な時期 

メンテナンスは、屋根を長持ちさせるために行いますが、お金をかけても僅かな延命しかできないのなら、結果的に損な工事になることもありそうです。
瓦やガルバリウムはメンテナンス等の頻度が少ないので、価格や特徴等のメリット・デメリットを理解していれば十分だと思います。しかし、スレート葺の屋根は劣化状況が様々なので、判断には注意が必要です。
スレート屋根の場合、塗装が剥げて水の流れが悪くなるのが第一段階です。見た目にも、色が薄くなってきます。しかし、この時点では何も問題はありません。第二段階は、スレート材に水が浸みこみ始めている状態です。水分は含んでいるものの、屋根の下地までは到達していないような状態ですね。いよいよ、タイムリミットまでの時計が動き出したようなイメージです。
屋根材は、下地部材に水が浸透しないためにありますから、見た目はどうであれ、水さえ通さなければ役目を果たしていることになります。この見極めとタイミングが難しいのがスレート屋根の特徴とも言えます。

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再塗装と葺き替え どっちがいい?

 屋根の再塗装をすると、水の流れがスムーズになり、部材に水を通しにくくなります。要するに、スレートの寿命を延ばす効果が得られるわけです。しかし、この「延命工事」には注意が必要です。「今すぐ再塗装が必要」・「再塗装すれば安心」などと工事を促してくる業者も多いようですが、しっかりと状況を把握する必要があります。
何故なら、いくら再塗装をしても、スレート自体の寿命が尽きれば水が侵入する可能性は消えないからです。
地震等の衝撃や猛暑等で塗装面にヒビが入り、そこから水が浸入してしまえば、結局は塗り替えた意味が無くなってしまうということです。

 根本的な治療(葺き替え)が必要なのか、再塗装が最適なのかの判断は難しいケースも多いということなのです。
判断が難しいので、料金の安い方(再塗装をする)という選択肢をとりたくなる事もあると思います。しかし、工事代金の安さにつられて判断を誤ると、無駄な出費になり兼ねませんので気を付けましょう。

 

まとめ

 近年では、専用器具で屋根の表面の写真を撮って判断する方法を用いる等、メンテナンスチェックの方法が進化してきました。このような検査で正確な時期を見ていくことで、無駄な延命工事をしなくて済みます。正しい時期に、適切な施工をするようにして上手に屋根材の寿命を使い切りたいものですね。